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青黒 短編小説

甘めなお話です。

付き合ってる青黒で、イチャイチャ。
シモねた…ではないはずです。^^;

やるところに至るまでの話です。
年齢指定は含まれませんが、苦手な方はご注意下さい。
 
本編は続きからどうぞ。



「なぁ、テツー。」

青峰の家に来るもの、もう慣れてきた最近。
はじめの頃にしていた気遣いも、もはやうそのように、黒子は青峰の部屋で自由気ままに過ごす。
その上、大概は読書という過ごし方をする黒子なので、青峰は暇でしょうがなかった。
いつの日か、そのことを黒子に言ったら、君とはこうして同じ空間で過ごしているだけで満足なんです。
なんて殺し文句を言われた。
その日は嬉しさで体が満たされて、それはもう普段の青峰を知る人が見たら、眼下に行きたくなるほど破顔した顔で、一日中だらしない顔をしていたのだ。
けれど、そんな嬉しさもあるものの、結局のところつまらない事には変わりは無かった。

都合よく親が居ることが少ない青峰家。

ということは、青峰としては黒子と遊びたい、話したい。
そしてあわよくば、毎回でもそういうことにだって持ち込みたい。
今のところ勝率は2勝惨敗。

果てしなく低い勝率のものの、それでも青峰は毎回果敢に攻め入っていく。
本日の作戦はエロ本。
黒子を後ろから抱きしめるような姿勢のまま、恋人に寵愛されている文庫本の上に、ざまあ見ろとエロ本を広げた。

「これ見ろよ、このショートカットの女、可愛くね?」

「そうですか。」

たった一言、それだけ言うと、黒子は下にされた文庫本を青峰が広げたどうしようもない本の上へと持ってきて、何事も無かったかのように読み始めた。

「このショートカットの女、テツに似てるよな。」

「………。」

再びあきらめない青峰により、文庫本を隠された黒子は、今度は何も答えずに、ただため息を一つついた。
そういえば、この人は前にもAVを借りてきて、自分に似ているとふざけた事を言い放ったことがある。
いったい何が楽しくて、わざわざそんな女性を探してくるのか、黒子にはまったく理解できなかった。

「……君も、本当にエネルギーが有り余ってる人ですね。」

若干の嫌味をこめて言ったはずが、青峰にはまったく通じておらず。

「男はオオカミなんだよ。」

と、若干的を得ているのか分からない返答を返してきた。

「そんなに有り余っているのなら、僕は帰るのでどうぞお一人で好きにやってください。」

そう言って、黒子は文庫本を鞄へしまうと、それを持って立ち上がろうとする。
けれどそんなことを青峰が許すわけも無く、目の前で立ち上がろうとした黒子の肩を押さえつけ、立ち上がれないようにした。

「それはねーだろ、テツ。俺達、"恋人"どうしなわけだし。」

にやにやと嬉しそうな青峰に、安い挑発だと思いながらも、黒子は乗ってみることにした。

「……それもそうですね。」

「へ?」

黒子の答えをまったく予想していなかったのか、青峰は間抜けな声と顔をする。
そして、そのまま黒子によってあろう事は押し倒されてしまった。

「いや、ちょっとまて、テツ!」

あわてる青峰に、黒子はいぶかしげな顔をした。
その顔だけで、君の思い通りになっているのに、何が不満なんですか?
と言っているのが雄弁に感じ取れた。

「おかしいだろ、良く考えろよ、この対格差だぞ?!俺が上だろ!!」

相手が何も分かっていないと感じ取ると、青峰はあわてて抗議を始めた。
正直、この体格差なら、本気になれば簡単に位置を逆転できる青峰だが、黒子に対してそんなことはできる限り行いたくはない。
そう思うと、青峰には、もはや言葉で抗議するしか道は残されていなかった。

「何言ってるんでうすか、君が言ったんですよ?男はオオカミだって。」

普段自分を見下ろしてくるこの大きい男が、自分の下に居ることが楽しいのか、黒子の声音は若干高揚していた。

「僕だって男です。」

そういい切ると、黒子は青峰の服に手をかけた。
この状況に、いよいよ諦めるか、愛しくてしょうがない黒子相手に力技を仕掛けるか、青峰は最大の決断に迫られる。

「やっぱり君は可愛いですね。」

微笑む黒子に、あぁ、やっぱり力技なんかテツにできる訳ねぇ。
そう思ったときだった。

「火神君とも負けず劣らずです。」

そんな言葉が聞こえてきた。
そしてそれを聞いたとたん、青峰の中の何かの線がプツリと切れた。
あんなに力で押し込めることを躊躇っていた自分は何処へ行ったのか、青峰はいっきに黒子を押し倒し、その立場をあっという間に逆転させた。

「いい度胸だ、テツ。俺の前で、別の奴の名前を出すなんざ。」

一瞬驚いた後に、すぐに立場を元に戻そうともがく黒子。
青峰は、それを押さえつけると、黒子の耳元で低くささやいた。

「お前の言うとおりだ、テツ。男はオオカミなんだ、せいぜい抵抗しな。」

「…オオカミを食べようとするオオカミなんて、君くらいです。」

降参したかのようにそれだけ言うと、黒子は体の力を抜いて捕食者に向き直った。

「それじゃぁ、頂きます。」



男の子はオオカミです。







今回は、素敵企画に参加させていただき、本当にありがとうございました。
提出期間を延ばしていただいて、本当に助かりました!ありがとうございます。
青黒…私の小説がうかないといいです^^;
とても楽しく参加させていただきました!
素敵企画をありがとうございました。


 

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